渇きと断章

「ふたしかな私」をとらえて詩のような文にしたい

何もしないことで私はもっと私になる

私はミニマリストにはなれないと思う。それは、むだなことをする時間を手ばなしたくないからだ。有意義なことだけに時間を費やせれば理想的なんだけれど、それのみではどこまでもあくせくして息がつまる。
それと同時に、どこか自分が他人とあまり変わらないような
“これは「私」ではない”という違和感も生じる。
無個性の「わたし」になってしまいそうな――
だから、一見むだなように思える時間がなければ自己を保てない。

逆に、むだなことをしているときほど自分らしさを感じる時間はない。
ほとんど何もしていないときにそれは極まる。

たとえばそのように自己を喪失しそうだと感じたとき、私は気が済むまで布団の上に寝っ転がる。何もしない。ときどき近くにある本をぱらぱらとめくったり、何気ないことについて思索したりする。成果も何もない。一日をむだに過ごしただけだ。しかし私はこのような方法で、もっと私になる。