渇きと断章

「ふたしかな私」をとらえて詩のような文にしたい

無であること

「無」というものに 惹かれているたとえば無目的であること何をしたら良いか分からなくなったとき、目を閉じて自己の海のなかを目的もなくゆらめいているそこではただの“何もないじぶん”勝ち負けの世界やすべてを征服しようとする自意識から、ひとり、ゆるゆ…

「私は求めていない 創作を 文章をつづることを……」

私は求めていない 創作を 文章をつづることを書きたい、という純粋な気持ちがみつからない文章は“書きたい”ではなく“書かざるを得ない”もの激しいインスピレーションの点滅に目が眩んだときそれ以外の道を絶たれてしまうこと

詩「郷愁」

何が正しいかは分からないままだったが「何かが違う」という感覚をたよりにやってきた いいえ、いつも何かが≪違っていた(・・・・・)≫のひと針の違和感の痛みに飛び出して生涯をかけ 霧のたちこめる海岸に沿って旅をつづける潮騒が大きく口を開けて波を飲…

詩「ふたしかな自己」

自身は木もれ日のようにゆらぐもの確かにかたち作られた身体と同じようなものだとばかり思っていたけれど――私は身体ではないおだやかな昼の日差しに ようやく目を覚ましたなにかそれは木立のあいだにあらわれたり伸びる影のなかに ふっと消えていったりする

詩「傍感する」

風が流れるあいだ目を閉じていると どうしてこの世のひとひらはやすらかに私を通り抜けてゆくのだろう。この身はさざめきとともにうつろになり全てはやさしくゆられて目を覚ます。 いつも責められていると感じたのは近所の子どもたちの遊ぶ声まぶた 閉じられ…